ものすごい印象操作だな、と思ったら

橋下知事「大阪維新」に批判殺到1700件 パブコメ中間取りまとめ

yahooのヘッドラインに表示されていた部分が以下。

橋下知事大阪維新」に批判殺到1700件 パブコメ中間取りまとめ
 大阪府の橋下徹知事が、6月に提示した「大阪維新プログラム案」について広く一般に意見を求める「パブリックコメントパブコメ)」を募集したところ、今月7日までに1748件もの意見が寄せられ、うち大半が「案を撤回すべきだ」など批判的なものだったことが11日、分かった。通常、府がパブコメを募集した場合、数件から数十件程度といい、府民の関心の高さがうかがえる結果となった。(産経新聞)
[記事全文]

タイトルとヘッドラインに表示されてる要約を見て、橋下改革ってかなり支持されてると思ってたが、違ったかと感じた。
内訳に踏み込んで無かったので、続きを読んだら唖然。

その続きが以下。


 パブコメは6月13日から募集を開始。東京や神奈川など全国各地から寄せられた。

 1748件の内訳は、事務事業や府立施設の見直しなど「財政改革」についてが1485件▽御堂筋のイルミネーション化など「政策創造」が97件▽府庁組織のスリム化や地方分権改革など「府庁改革」が79件−だった。

 「橋下知事の方針に賛成」(10件)、「職員人件費の削減に賛成」(36件)など評価する声がある一方で、「案を撤回すべきだ」(186件)、「国際児童文学館の移転反対」(197件)など批判的な意見が大半を占めた。

 募集は14日まで。府は意見を参考に最終案をまとめる。

撤回すべきの186件と児童文学館の移転反対197件を足して400件足らず。
批判的な意見が大半ってことは少なくともあと500件は批判的内容でなければおかしい。
しかも、この批判的意見ってやつが二重に勘定されてる可能性があることを考慮するともっと多くの件数が批判的意見でないとおかしい。
どうも大阪府が出した資料から意図的に「批判的な意見が大半を占める」という結語を導けるように読んでるようにみえたので、大阪府の出した資料をあたってみた。

『大阪維新』プログラム(案)パブリックコメント意見等提出状況(pdf注意)

リンク先はpdfなので以下に全文転載。


大阪維新』プログラム(案)パブリックコメント意見等 提出状況
パブリックコメント提出状況
※今回の集計期間 6月13日〜7月7日(25日間)
(参考)募集は、7月14日(月)まで実施
○意見提出件数(団体等含む)
総 6月13日〜7月7日(25日間)(参考)募集は、7月14日(月)まで実施
数 1,395 件(ネット608件、FAX456件、郵送等331通)(個人1,142人、団体等253団体)
○意見件数(団体等含む)
総数 1,748 件
※なお、上記件数は、複数の意見がある場合はそれぞれ1件とカウント。
≪府民からの意見の内訳≫
区 分 件数 主な意見(個別件数)



区分件数主な意見
1.財政改革1,485件
全体264 件
・府民施策切捨て、雇用と賃金を破壊する「橋下プログラム案」の撤回(186 件)
・教育、福祉、文化、子ども、警察等の予算削減反対(10 件)
・財政危機(借金)の原因追究等(4 件)
など
事務事業638 件
・私学助成削減に反対(176 件)
・労働情報総合プラザの廃止反対(55 件)
・医療費1割負担の反対等(29 件)
・教務事務補助員・非常勤補助員等の廃止反対(154 件)
・大阪フィルへの補助金を存続すべき(11 件)
・夜間学級就学援助及び補食費の削減反対(20 件)
・障がい者施策関係予算の廃止・削減反対。施策の存続、充実を(62 件)
・教育関係予算の廃止・削減反対(13 件)
・識字学級を存続すべき(11 件)
など
人件費257 件
・人件費削減賛成(36 件)
・人件費削減反対(32 件)
・教員や警察官の人件費削減反対(126 件)
・歴代の知事、幹部の責任追及(3 件)
・知事の給与の更なる削減(3 件)
など
歳入の確保17 件
・税収増の案を考えるべき(5 件)
・収入増を図るべき(2 件)
など
出資法638 件
・ピース大阪の予算削減に反対(3 件)
・大阪府男女共同参画推進財団への予算措置を継続すべき(2 件)
・センチュリー交響楽団は廃止すべき(2 件)
など
公の施設13 件
国際児童文学館の統廃合反対(197 件)
大阪府立上方演芸資料館の移転反対(15 件)
・女性総合センターは存続すべき(10 件)
・青少年会館は必要な施設と思えない。ドーンセンターに移転すべき(3 件)
など
主要プロジェクト27 件
・大型開発の見直し等(20 件)
・ダム事業の継続に反対(10 年程度凍結すべき)(3 件)
・財政破綻の原因分析、公共事業の再検討が必要(2 件)
など
2.政策創造97 件
全体
11 件

・政策創造の内容が乏しい(7 件)
・産業や労働、障がい者、環境、人権、文化、史跡に関する施策を重点政策に追加すべき(4 件)
子育て支援日本一 7 件
・「子育て支援日本一」というが中身が薄い。どういう形で子育てを応援してくれるのか(3 件)
など
教育日本一 27 件
・「教育日本一」は現場教員の意見を反映した施策なのか。教育関連予算の充実が必要(6 件)
・習熟度別授業は、子どものやる気をなくし、差別につながるので反対(4 件)
・校庭の芝生化は、散水や農薬散布等が必要でありやめるべき(6 件)
など
他都市を圧倒する景観等で人を引きつける大阪づくり 47 件
・ライトアップやイルミネーションは環境の悪化につながり、府財政の建て直しを行っている現状などから実施すべきでない(32 件)
・大阪ミュージアム構想は大阪のイメージアップになり、人も企業も学生も集まると思うので大賛成。もっと宣伝すべき(7 件)
など
大阪経済の活性化 4 件
・「税源涵養」につながる施策こそ最重要とすべき。産業の活性化の内容が希薄 (2 件)
など
新たな国際交流の取組み 1 件
・世界を見据えたアジア政策を目指すべき(1 件)
3.府庁改革 79 件
府庁改革 35 件
・内部告発制度を徹底的に実施し、行政の腐敗をゼロにすること(2 件)
・府民は「顧客」ではなく、大阪府は企業ではない(4 件)
・コピー縮減、カラーコピーの原則禁止など、経費を削減する知恵を絞ってほしい(4 件)
・組織のスリム化、効率よく働ける組織の編成に変えるべき(2 件)
・公務員には、民間並みに厳しくやってほしい(2 件)
・情報公開をすすめるべき(2 件)
など
人事制度改革 23 件
・徹底的に職員の職務遂行能力を評価する制度を作ること(4 件)
・民間企業研修、自衛隊研修など、職員の研修を充実すること(5 件)
・天下り制度の廃止(2 件)
・マイカー通勤を認めることで通勤手当の削減が図れる(2 件)
・通勤手当削減などのため、自宅に近い職場へ転勤させるべき(3 件)
など
府政推進ガバナンスシステム 2 件
道州制の検討や予算削減などについて、外部の有識者やコンサルタントの意見を聞くべき(2 件)
地方分権改革 13 件
・大阪府を解体し、国の政治をやりやすくする道州制はストップ(3 件)
・国から地方への権限・財源の移譲を進めること(4 件)
道州制導入方針について、具体的イメージ等の提示を行うべき(4 件)
など
国への提言 3 件
・国直轄事業負担金を払わない策を講じること(3 件)
維新の先にあるもの 3 件
・5 年後、10 年後にどのような大阪にしていくのかというグランドデザインをしっかりもつべき(2 件)
など
4.その他 87 件
橋下知事の方針に賛成(10 件)
・府議会議員の定数、報酬を削減すべき(12 件)
など

ここから肯定的な意見を抜き出してみる。


・人件費削減賛成(36 件)
橋下知事の方針に賛成(10 件)
・大阪ミュージアム構想は大阪のイメージアップになり、人も企業も学生も集まると思うので大賛成。もっと宣伝すべき(7 件)


肯定のみで考えると以上の3つだろう。(53件)

んで、提言など、どちらともとれない意見を抜き出してみる。


・センチュリー交響楽団は廃止すべき(2 件)
・青少年会館は必要な施設と思えない。ドーンセンターに移転すべき(3 件)
・大型開発の見直し等(20 件)
・ダム事業の継続に反対(10 年程度凍結すべき)(3 件)
・財政破綻の原因分析、公共事業の再検討が必要(2 件)
・産業や労働、障がい者、環境、人権、文化、史跡に関する施策を重点政策に追加すべき(4 件)
・「教育日本一」は現場教員の意見を反映した施策なのか。教育関連予算の充実が必要(6 件)
1 件 ・世界を見据えたアジア政策を目指すべき(1 件)
・内部告発制度を徹底的に実施し、行政の腐敗をゼロにすること(2 件)
・コピー縮減、カラーコピーの原則禁止など、経費を削減する知恵を絞ってほしい(4 件)
・組織のスリム化、効率よく働ける組織の編成に変えるべき(2 件)
・公務員には、民間並みに厳しくやってほしい(2 件)
・情報公開をすすめるべき(2 件)
・徹底的に職員の職務遂行能力を評価する制度を作ること(4 件)
・民間企業研修、自衛隊研修など、職員の研修を充実すること(5 件)
・天下り制度の廃止(2 件)
・マイカー通勤を認めることで通勤手当の削減が図れる(2 件)
・通勤手当削減などのため、自宅に近い職場へ転勤させるべき(3 件)
道州制の検討や予算削減などについて、外部の有識者やコンサルタントの意見を聞くべき(2 件)
・国から地方への権限・財源の移譲を進めること(4 件)
道州制導入方針について、具体的イメージ等の提示を行うべき(4 件)
・国直轄事業負担金を払わない策を講じること(3 件)
・5 年後、10 年後にどのような大阪にしていくのかというグランドデザインをし
っかりもつべき(2 件)
・府議会議員の定数、報酬を削減すべき(12 件)


以上96件。

最後に批判的・否定的意見を並べる。


・府民施策切捨て、雇用と賃金を破壊する「橋下プログラム案」の撤回(186 件)
・教育、福祉、文化、子ども、警察等の予算削減反対(10 件)
・私学助成削減に反対(176 件)
・労働情報総合プラザの廃止反対(55 件)
・医療費1割負担の反対等(29 件)
・教務事務補助員・非常勤補助員等の廃止反対(154 件)
・大阪フィルへの補助金を存続すべき(11 件)
・夜間学級就学援助及び補食費の削減反対(20 件)
・障がい者施策関係予算の廃止・削減反対。施策の存続、充実を(62 件)
・教育関係予算の廃止・削減反対(13 件)
・識字学級を存続すべき(11 件)
・人件費削減反対(32 件)
・教員や警察官の人件費削減反対(126 件)
・ピース大阪の予算削減に反対(3 件)
・大阪府男女共同参画推進財団への予算措置を継続すべき(2 件)
国際児童文学館の統廃合反対(197 件)
大阪府立上方演芸資料館の移転反対(15 件)
・女性総合センターは存続すべき(10 件)
・政策創造の内容が乏しい(7 件)
・「子育て支援日本一」というが中身が薄い。どういう形で子育てを応援してくれるのか(3 件)
・習熟度別授業は、子どものやる気をなくし、差別につながるので反対(4 件)
・校庭の芝生化は、散水や農薬散布等が必要でありやめるべき(6 件)
・ライトアップやイルミネーションは環境の悪化につながり、府財政の建て直しを行っている現状などから実施すべきでない(32 件)
・「税源涵養」につながる施策こそ最重要とすべき。産業の活性化の内容が希薄(2 件)
・府民は「顧客」ではなく、大阪府は企業ではない(4 件)
・大阪府を解体し、国の政治をやりやすくする道州制はストップ(3 件)


以上1173件。

という訳でなるほど批判的意見が大半だな、と思える。

で、合計すると1322件。
総数は1748件なので残りの400件余りの内容には触れていない。
おそらくは様々な意見があり纏められないのだろう。
この程度の数の意見ならばそれは当たり前だろう。

そう考えるとなんとも腑に落ちないのは反対意見の中でも特定の支援廃止反対にだけ妙に同一意見が多いこと。
それぞれ総数の一割程度同一意見があったことになる。
特に一番最初の「府民施策切捨て、雇用と賃金を破壊する「橋下プログラム案」の撤回」という否定意見がおかしい。
民間への雇用施策や賃金是正に関しては維新の中で特に触れられているところは無い。
つまりおそらくは府職員、それも労組が集団で出した意見だろう事が読み取れる。
名指しで施設の存続を訴えているのもおそらくは同様であろう。
というのも、見直し対象になっているのは特定施設のみでは無く様々な団体に及んでいるから。

というわけで、反対意見が大半ってのが導かれるのはわかるのだけど、ちょっと中身を見ると腑に落ちないところが多いなという印象。

ところで、そもそもパブコメ募集していることをこの記事で知ったのだけど、そのあたり周知が足りないようにも思う。
世論調査との結果の乖離とかツッコミどころは他にもあるけど、資料だけからみたらまぁ、こういう報道もできるわな。